(1) 社内承認の必要性
通常経営革新計画承認は、各都道府県に申請し、承認をとることを意味する。
しかし、筆者の30余年の経験からすると、社内の申請承認も大切なことといえる。
なぜなら、この計画が「ある特定の人によって作成されたものだ」と認識されると、参加意識が低下してしまうからである。
経営革新は全社一丸となって実行することによって、その効果が高まるということからすれば、社員全員がいるところで社内説明会を行い,質疑応答を受ける必要がある。
また、情報システム等の投資がかさむことがあるとすれば、経営革新計画の承認申請とフォローアップステアリングコミッティでの説明、承認が求められよう。
これをないがしろにすれば、計画だけが独り歩きし、空回りして、失敗の道をたどる可能性もある。
また、中小企業診断士等の支援者にとって最も大切なことは、期待効果を実現するための民間ベースのコンサルティング支援の承諾を得ることであろう。
(2) 社外の承認・承諾の必要性
当然ながら、この制度からして、各都道府県への申請承認が求められる。
ここでは、経営新に必要な、ステークホルダーに対する説明と承諾が求められるケースがある。
特に調達・仕入先や販売先とのサプライチェーンを構築する経営革新の場合においては、ネットワークや通信手順・伝票フォーマットの変更、受発注システムの変更が伴うことも少なくなく、これらの事前承諾が求められる。
の変更、受発注システムの変更が伴うことも少なくなく、また、支払方法の変更や、請求方法の変更、訂正時の方法の変更等も詳しく事前に説明しておく必要があろう。
(3)計画の実施支援は支援者の真骨頂である
経営革新計画の承認を受けたのち、これをいかに実現していくかが、最も大切なことと同時に、難しい局面でもある。
特定の幹部や特定部門(たとえば情報システム部門等)の人だけで作った経営革新は、実行する段階になって、現場から猛反対されることが少なくない。
これをいかに防いで、経営革新を実現反対を防ぐためには、総合診断ステップ8の事業ソリューション策定時に現場の人を交えて、納得のいくまで討議しておく必要がある。
ここで権力に任せするかは、支援者の真骨頂である。
て強引に承諾させると,実施段階で不満が噴出し、「これもできない」「あれ。できない」という反対意見が出てきて、収拾がつかなくなる可能性が潜んでいる。
(4) 経営革新期待効果実現のためのフォローアップ
フォローアップは、経営革新のための情報システム構築実施支援等が終わって、経営革新が軌道に乗ってきた段階であるが、それも監視していないといつの間にか実行しないままになる可能性がある。
戦略ビジョンで立てた「ステップ別期待効果」が確実に上がっているかを注視して、当初の予定どおり実行されることや、場合によっては計画修正を行い、それを実現できるように支援するのが主な仕事となる。
これらを実現するための具体策は第3章以降細かく説明したい。