(1) 経営者の変革と考え抜いた経営理念の定着
① 経営理念の成文化
経営理念は、その企業の考え方・あり方を示すもので、最も大切なもののひとつである。たとえば伊勢丹の企業理念(2010年の伊勢丹のあるべき姿)の例を挙げると、
根本精神 = <道義を守り、奉仕の心を持つ,企業経営>
企業スローガン=<毎日が、新しい。ファッションの伊勢丹>
Isetan gives new meaning to fashion
企業ビジョン=<伊勢丹は,人々とともに感じ、ともに考え、ともに歓び,明日の暮らしを創造する。
企業の姿勢 =<私たちは「お客様第一」から出発し>
・「質の高い満足感」をさしあげる,最良の品ぞろえとサービスをいたします。
・「健全な企業体質」を保っていくために,一人一人が努力します。
・「あたらしさへ挑戦」し,現状に満足せず,勇気をもって仕事にあたります。
・「良識ある社会人」として、高い倫理観と美しい心をもって行動します。
・「かけがえのない環境」を守り、それを次の世代へつたえていくように努めます。
全員にわかりやすく,理解がされやすいといえよう。
②経営者の自己変革はどのようにやるか
経営者自身が収境変化と、13社の成長とともに「自己変革していく必要がある。
その場合に次のことが参考になるであろう。
a.チェンジ・リーダーとしての3つの信念
・変革の源泉となる志を高く持って,変革への課題を設定できるか。
~今の会社ではダメだ!自分が変革する強い志を持っているか。
・既存の枠組みが持つ暗黙のタブーを明らかにし、挑戦できるか。
~今の会社はここがダメだ。それに挑戦する勇気があるか。
・変革への信念を持って、周囲の人を巻き込んでかつ共有できるか。
~厳しいが共感できると思っているか。
b. チェンジ・リーダー5つの条件
・原体験を持っているか。
~信念を持てるだけの強い衝撃的な原体験を持つ。
・コンセプト化ができるか。
~原体験を理論化・コンセプト化する(暗黙知 → 形式知にする)
・場慣れしているか。
~原体験による理論化した自分なりの信念や方法論に基づいてプレゼンテーションを繰り返し体験する。
・反省しているか。
~1つのプロジェクト終了後には、良かった点,まずかった点を振り返ることで,変革スキルの向上や新たな発見に結びつける。
・人的ネットワークを持っているか。
~社内での同志、社外での仲間等で刺激し合う場を持っているか。