まず会社の存在意義、自社は何のために存在するのか、社会にどんな影響を与え、どう生きていくのかを「経営理念」として定めます。
早速、「経営理念」の作成プロセスをご紹介しましょう。
「経営理念」は、次の五つの手順にそって作成します。
<手順1>他社の「経営理念」から五つ選ぶ
<手順2>社長の考えを書き出す
<手順3>「経営理念」案を三つ作成する
<手順4>時間をおいて熟成・昇華させる
<手順5>100年後も使えるかどうかを検証する
<手順1>他社の「経営理念」から五つ選ぶ
まずは、いきなり「経営理念」をつくろうとするのではなく、世の中にはどんな「経営理念」があるのか、他社のものを見てみましょう。 今は多くの企業がホームページなどで自社の「経営理念」を公開しています。また、いろいろな企業の「経営理念」や社是、 ミッションをまとめた書籍やアプリケーションも存在します。 これらに目を通すと、表現方法や文の長短など、いろいろな形があることがわかると思います。 そして、次の3点のいずれかから自分がいいなと思うものを五つ選んでおきましょう。
・自分が好きな社長、会社がつくった「経営理念」
・同業種で業績がよい会社がつくった「経営理念」
・中小企業で、尊敬する先輩経営者がつくった「経営理念」
「経営理念」は、社員全員が本気でその実現に取り組む必要があるものです。自分の頭の中からひねり出すことにこだわりすぎて思いが表現できなかったり、伝わらなかったりしてしまうと意味がありません。 実際に成功している企業のものを参考にしながら自社の経営理念」をイメージしてみましょう。
<手順2>社長の考えを書き出す
次に社長の考えを盛り込むためのアウトプットをします。
「自社は何のために存在するのか?」「自社はどうやって社会に貢献していくのか?」「世の中に何を広めたいのか?」「10年後はどうなっていたいのか?」「誰からどんな支持を得たいか?」
この五つの質問に対して、自問自答しながらできるだけたくさん答えを書き出してください。
<手順3>「経営理念」案を三つ作成する
<手順1>で選んだ他社の「経営理念」を参考にしながら <手順2>で書き出した言葉を使い、自社の
「経営理念」を作成してみましょう。 コツは細かいところにこだわらないこと。 表現を変えたり、組み合わせたり、読み上げたりしながら、「経営理念」の案を三つ作成してみましょう。
<手順4>時間をおいて熟成・昇華させる
三つの案ができたら、それを一枚の紙に書き出し、1週間以上持ち歩きましょう。そしてことあるごとに三つの案を見返します。 目標を達成したとき、社員が思いどおりに動いてくれないとき、お客様からクレームがあったときなど、何度も何度も見返すように努めてください。経営者仲間や長くおつき合いいただいているお客様に意見やアドバイスをもらうのもよいでしょう。客観的な視点で「経営理念」の案を見て、よりよい表現や追加したいキーワードが出てくれば、そのつど書き加えておきましょう。
<手順5>10年後、100年後も通用するかどうかイメージする
最後に、<手順4>で集めた意見やアドバイス、追加案と三つの案をまとめ、一つの「経営理念」に仕上げてください。 何度も言葉を置き換えたり、表現を見直したりして納得のいくものに仕上げましょう。 文字のバランスやゴロのよさなども考慮してみましょう。
そして、必ず10年後、いや世の中に貢献し続ける会社になろうとするのなら、30年後、100年後も
通用する 「経営理念」であるかを確認します。
いかがですか? 10年後の会社をイメージしたとき、その「経営理念」の実践をあなたが先頭に立って全社員と目指し続けている姿が鮮明に描けますか? 映像のように浮かんできますか?100年後
もあなたの後継者や社員たちがその「経営理念」を世の中に広め、貢献していくためにまい進していると確信できますか?
あなたが強い信念を持ってそう言い切れればOKです!その「経営理念」に決定しましょう。
確信が持てなかったり、強いイメージが描けないのであれば<手順2> まで戻って再度やり直してみ
ましょう。
もし、手順どおりにやってできなくても、焦る必要はありません。
会社の経営の根幹となるものですから、社長自身が定め、実現に向けて最後までやり遂げるという決意と自信を持って打ち出す必要があります。 何度やり直しても、何日かけてもかまいません。
少なくともあなたが今の会社とかかわっている限り ”絶対にやり抜く”という覚悟と自信が持てるも
のになるまで磨きあげてください。