次に、「5カ年事業計画」で「ビジョン」に到達するまでの業績をどう伸ばしていくか、明確にします。“ルートを示す”としたのはただ単に売上や利益計画を作成するのではなく、その道筋ができるだけわかる計画にするためです。
そのためのポイントが三つあります。順番にお伝えしましょう。
一つは、「売上」を「いくらにするか」ではなく、「どうやってつくっていくか」がわかるものにするという点です。
そのために、売上の中身を明示します。 具体的には、「商品」「顧客」「業種・業界」「エリア」「店舗」「営業所」などの区分ごとに売上をどう構成するのかを考えていきます。
商品のなかでいちばん力を入れていくものはどれか、もっとも成長見込みのある顧客はどこかを決め、具体的に数値に落としていきます。
店舗や支店、営業所などを展開をしながら売上をつくっていく会社は、新規出店や支店開設をいつ、どのタイミングで行うのか、予定を決めて売上計画を作成します。
二つ目は、未来にむけてどのような投資を行っていくかを明確にするということです。
そのために、将来の成長に必要な投資を明示します。「ヒト・モノ」のなかでどこに「カネ」を投資するのか、具体的には、育成投資、採用投資(ヒト)、開発投資、設備投資、IT投資・広告投資(モノ)などを考えます。
経理上の科目の分類にこだわる必要はありません。何にどれだけ投資するのかが社員にわかるようにしてください。
三つ目は、社員(パート・アルバイト) をどのように採用、配置していくかを計画することです。
具体的には「人員計画」を作成します。「人員計画」とは、年度ごとの採用と各部署の人員構成を明確にしたものです。 先に作成した売上計画を実現するためには何人採用して部署の配属をどうする必要があるかを考え、「人員計画」に落とし込みます。
生産性の向上、一人当たりの人件費にも関連するものです。単純に売上をつくるために必要だから人を増員するのではなく、効率化や
生産性アップのための投資や人材育成の推進と合わせて考え計画しましょう。
この3点を「5ヵ年事業計画」に盛り込むことによって「ビジョン」実現に向かうプロセスを社員に明示するのです。