戦略⑬ 商品企画・開発プロジェクト
中小企業では、商品の企画や開発を専門に行う部署を持つところは、そう多くはありません。社長が自ら商品を見つけてきたり、開発をする、あるいは、営業部長や店長がサービスを考え出し、商品化しているケースがほとんどです。
中小企業の経営者、社員は誰もが複数の業務を抱えて仕事に取り組んでいます。このような状況を逆に利用し、幅広い人たちが企画や開発にかかわっていけば、広い視野でよりよい商品やサービスが生み出せる可能性が高まります。こうすることで、中小企業の弱みとされる、専門部署や専任者をつくれないといった点を強みに転化できるのです。
具体的には全社的な「商品開発コンクール」や 「商品企画提案制度」を導入します。
成功のポイントはしっかり運営をすること。集まった企画や提案にきちんと目を通し、採用されなかった場合でも本人にフィードバックすることが大切です。 社長や幹部が主体となって制度を運営していきましょう。
戦略⑭ 商品ランク分類
「商品ランク分類」とは、自社の業績への貢献度を商品、サービスごとに分類、ランクづけすることです。
まず商品・サービスごとに次の指標を分析してみましょう。
①粗利益
②売上
③販売数量、利用回数
④売上および粗利益の商品ごとのシェア
⑤①~④の過去3年以上の推移
⑥取扱い、サービス提供期間
そして、①~④に関しては高いものから並べて順位づけをします。
次に重要度の優先順位を考えて並び替え、業績への貢献度を分析、把握します。
業種や商品に応じて「回転率(数)」や「在庫期間」などを指標としてもよいでしょう。
最初は貢献度が正しい順位になっているか判断できない場合も出てくるでしょう。そのようなときでも、指標を入れ替えながら時間をかけて徐々に正しい貢献度を把握します。
前ページの事例の会社では、粗利益額をもっとも重視した結果、売上がいちばん大きな「B商品」で
も貢献度は2番目となりました。
また「C商品」は売上シェアは小さいのですが、粗利率がダントツに高く、単価は低くて販売しやすいので、重点商品として強化することになりました。
さらに、粗利・売上シェアともに低く、販売個数も少ない「G・H・Ⅰ商品」については取り扱いをやめることになりました。
こうして現状を分析・把握したうえで各商品の貢献度・成長性などを加味して戦略を決め、全社員に公開、共有し、実行します。
戦略⑮ 生産計画と実行
この「戦略」は主に製造業、メーカーに必要となる「戦略」です。
「経営計画」で「5ヵ年事業計画」を作成していますから、製造部門はこのなかの商品販売、開発計画にもとづいて「生産計画」を立案し、その準備をしておく必要があります。
自社で工場を持った企業は生産量に応じた人員計画や資材調達、設備、下請けや外注・協力先との体制づくりが必要です。
工場を持たないファブレス企業も、提携工場の開拓や、商品によっては社外のデザイナーやコンサルタントとの提携のめどをつけておかなければならない場合もあるでしょう。
消費者の支持を広げていくために、製造業同士で手を組むケースもあるでしょう。
受注が決まった生産計画だけではなく、将来の売上、利益計画を実現するための体制と仕組みづくりが生産担当者には求められます。
また、これらの計画を過剰在庫や無駄な資材調達につながらないよう推進していくために営業や社外と連携し、 コミュニケーションをとることも重要です。こうした点をきちんとルール化し、活用ツールなどを決めてスピーディーで臨機応変に対応できる体制を整えておきましょう。