◉「経営計画発表会」で自らのゴールと役割を宣言する
ここから 「戦略」の運用を通じて、リーダーを育成する方法をご説明していきましょう。まずは運用をはじめる前に「経営計画発表会」を開催します。
「経営計画発表会」には二つの目的があります。
一つ目は、全社員に会社の考え方を理解してもらい、共感してもらうことです。「経営計画発表会」は、3時間程度の限られた時間のなかで行うので、社員が「経営計画」の内容すべてを理解することはありません。そこで、会社が「経営計画」にそって成長・発展することで、何を目指すのか、目指すべきゴールをきちんと伝えます。目標を達成し、ビジョンを実現することで、お客様に喜んでもらうだけでなく、地域や社会に役立ち、そしてなにより社員が豊かで幸せになれる組織を目指すことを発信してください。
発表会後に「早く取り組みたい!」と全社員がワクワクして前向きになることが理想です。「経営計画」は、社員の協力なくしては実現し得ないものだからです。
二つ目は、社長とリーダーに決意をしていただくことです。
まず社長は、「経営理念」の実現に向けて 「基本方針」を貫き、「ビジョン」や 「5ヵ年事業計画」をやり遂げる覚悟を全社員の前で示します。
そして、「戦略」はリーダーに発表を任せます。 「戦略」を動かしていくリーダーが、何に取り組み、どのような成果を実現するのか自ら宣言します。これによって、「戦略」の実行管理責任が社長や会社にあるのではなく、自分たちにあることを自覚させます。
このとき、各部門のリーダーが、自部門の仕事に関連性の深い「戦略」を発表するのがよいでしょ
う。 営業部長であれば 「顧客戦略」や「営業戦略」、商品開発や製造部門の部門長は「商品戦略」、総務や経理の部門長は「組織戦略」といった具合です。
ポイントは、ただ「戦略」を読み上げるだけでなく、 「その『戦略』が自社にとってなぜ必要なの
か」「どんな成果が得られるのか」の2点をわかりやすく伝えることです。
「戦略」は、これまでの仕事にプラスアルファをして取り組まなければならない内容がほとんどです。
社員にその理由をしっかり伝えることで、納得して動いてもらい成果に結びつける必要があります。 そして、最終的には社員自身のメリットにもつながるということまで話ができるとベストです。