まずは、「5カ年事業計画」の数値目標から評価項目を作成します。これによって、社員が目標とその達成状況を常に意識して行動するようになり、事業計画が達成される確率は格段に高まります。ここでは、全社、部門、個人の三つの段階ごとに社員の業績評価項目を作成します。
最初に、「5ヵ年事業計画」の「売上高」「粗利益」「経常利益」など、全社の主要目標項目を評価項目とします。これらの項目は全社員共通の評価対象とします。全社の業績結果が自分の評価にも影響することを明確にし、組織としてのベクトルをそろえる効果があります。ただし、社内のグレード(職位のレベル)や役職で、上位の社員ほど大きくなるようにウェイト配分に差をつけます。
次に、各部門が全社の業績目標を達成するために、どんな数値目標を達成すればよいのかを明確にします。
各部門の数値目標の一般的な事例をご紹介しておきます。
【営業部】
「売上高」「粗利益」「新規開拓件数 (金額)」「新(強化) 商品売上高」「顧客単価」「成約率」「クレーム件数削減率)」 「活動経費」 など
【マーケティング・営業企画部】
「新(強化) 商品売上高」「在庫回転率(期間)」「広告・プロモーション費用対効果」など
【製造部】
「原価削減率(額)」「開発リードタイム」「商品クレーム件数」「事故削減件数」「商品提案件数」など
【経理部】
「経費削減率(額)」 「財務分析完了期日」「改善提案件数」 など
これらはあくまでも私たちのクライアントなどで活用している数値目標項目の事例です。あなたの会社が全社目標を達成するためには各部門がどのような指標を目標とすべきか「5ヵ年事業計画」から落とし込んだうえで数値目標を決めてください。
最後は、個人の数値目標です。 個人目標を設定する場合のポイントが二つあります。一つは個人の数値目標まで設定するのは営業系の部門が中心であることと、もう一つはこのときプロセスも数値に落とし込んで目標に設定するという点です。
セミナーなどで、よくこんな質問をいただきます。
「経理や総務部門はどんな数値目標を設定したらよいのでしょうか」
これに対していつも私は、「無理に設定する必要はありません」とお答えします。
「評価を公平に行うためには、できるだけ定量化した評価項目を定めた方がよい」と多くの人が考えがちですが、これは間違っています。 個人の数値目標を定めづらい職種に無理に数値項目を設定すると、逆に不公平感が生じるケースがほとんどだからです。このような職種は、定性的(数値以外のプロセス) 評価項目が充実していれば、数値項目がまったくなかったとしても何の問題もありません。
数値目標を設定します。 「提案件数」「受注率」 「新規客訪問件数」「商談時間」など、「プロセス=行動」を実行することで「結果」につながるものを数値化して設定します。こうすることで、結果を出せる営業社員をきちんとした「理論」にもとづいて、効果的に育成することができます。