実例で見る「経営計画」で人の成長を実現する方法

【株式会社オタンティック】
導入直後から、月別売上対前年比越えを連続更新中!
小さな美容室が導入直後から成果に直結できたワケ

所在地:東京都渋谷区恵比寿西1−2−5
代表:代表取締役社長 及川和城
業務内容:ヘアサロンの経営
創業: 創業1998年/設立2012年
資本金:100万円 従業員数:10名

◎短期間で成果に直結した三つの理由

東京の恵比寿と千葉の松戸で「Milieu (ミリュウ)」という美容室を2店舗展開する、株式会社オタンティック。
ご存知のように、オーバーストア状態が続き、顧客、人材ともに奪い合いで競争が激しい美容業界。
存続していくだけでも困難ななかで、オタンティックは1998年の創業から20年を迎えようとしていました。しかし、「このままでは、これ以上の発展は見込めない」と社長の及川和城さんは改革の必要性を実感していました。

そんななか、奥様で人事部長のななえさんが書店で出会ったのが拙著『図解 3ステップでできる!小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方』(あさ出版)でした。読み終えたときには、「自社の将来のためにはこれしかない!」 二人の思いは一致していたと言います。

オタンティックの「ビジョン実現型経営計画」への取組みは2017年4月に主催された「ビジョン経営実践塾」という勉強会へ及川社長が参加したことから始まりました。 「経営計画」の導入、運用開始は2017年10月からと、スタートしてからまだ1年足らずです。しかし、恵比寿、松戸の2店舗とも対前年比売上を7カ月連続で更新し続けています。会社も2017年3月には月間最高売上を塗り替えることができました。

なぜオタンティックはこんなに短期間で結果を出すことができたのでしょうか。

その要因は、三つあります。

一つ目は、及川社長の思い切った導入と運用の進め方、二つ目は自社にマッチしたものに改善をしたこと、そしてもう一つは及川社長自身がプロジェクトメンバーの中心となって推進やとりまとめを行っていることです。

◎三つの運用サイクルを導入と同時にまわす

本書でご紹介した「ビジョン実現型経営計画」は一般的には、「経営計画」を作成した後に、その内容を落とし込んだ評価制度をつくり、「評価制度運用サイクル」のPDCAをまわします。 これがある程度慣れてきたところで、会社全体のアクションプランを作成し、「アクションプラン運用サイクル」を推進、その後 「個人アクションプラン運用サイクル」のなかに「個人アクションプラン」を落とし込むという手順で進めていきます。

ところが及川社長は、大胆にもこの三つの運用サイクルを制度導入時から同時にまわしはじめたのです。
完全に個人の成長目標が全社の「アクションプラン」と連動しています。
及川社長は、「『経営計画』ができたので、最初から三つともPDCAをまわすのがあたり前だと考えていました」と言います。

一般的には中小企業のリーダーはPDCAをまわすのに慣れておらず、かつ多忙なため一気に運用に踏み切ろうとすると不満が出る場合もあります。 そこで、 それぞれのサイクルを一つずつ徐々に慣れてもらいながら導入するケースがほとんどです。

しかし、オタンティックの場合はこうして一気に三つのサイクルに社長自ら取り組んだことが逆に大きな効果を生みました。

これが可能だったいちばんの要因は、改革を推進する前から及川社長自身がスタッフ一人ひとりと密度の高いコミュニケーションをとっていたことが挙げられます。 及川社長はスタッフたちと毎月1回個別に面談を行い、会社に対する意見や不満を吸い上げていました。こうしたきめ細やかな対応を時間をかけて継続的に行ってきたことで、それぞれのスタッフの性格や特性をあらかじめ把握することができていました。このようなベースがあったため。通常の中小企業では高いハードルとなるようなことも乗り越えることができたのです。

◎導入当初から自社にあったものに改善

そして、業績に直結した大きな要因は、私たちのコンサルティングをそのまま導入、活用するのではなく、 及川社長やななえさんが仕組みやフォーマット、運用方法などの改善案をどしどし提案して推進していったことです。

及川社長は言います。

「仕組みの内容や進め方に違和感があったり、これまでやってきたものを活用した方が浸透しやすいと判断した場合は、自社にマッチしたものに変更しました」

こうしてオタンティックの現場に即したフォーマットや内容となることで、スタッフが活用しやすくなり、当初からみんなが前向きに取り組んでくれるものになりました。
これは他社の事例でもいえることですが、リーダーから内容や推進方法に対して改善案が出てくるようになると本格的に成果が上がりはじめます。 改善案が出せるということは内容を理解したうえで本気で取り組もうとしている証拠だからです。

◎社長自身がプロジェクト・リーダーとなって取り組む

もう一つ、オタンティックでは及川社長自身がプロジェクトの中心メンバーであるリーダーとなって制度改革を推進していることが、成功の要因として挙げられます。

及川社長のかかわり方の特徴の一つとして仕組みの進め方や目的、内容、フォーマットなどについて、完全に理解するまで私たちにしつこく質問されることがあります。

これは、コミュニケーションを重視する及川社長が仕組みの細かい点まで自らスタッフに説明できるようにするためだといいます。

従来からコミュニケーションが充実していたオタンティックですが、新たに学んで取り組まなければならない仕事に対して、多忙な現場から疑問や不満がまったく出なかったわけではありません。

これに対して、及川社長とななえさんはすべて自分たちの言葉で直接スタッフに丁寧に説明を繰り返していきました。及川社長は、当時を振り返って、「心が折れそうになったことが何度もあった」と本音を吐露されています。

ですが、こうした決め細やかな対応が信頼につながり、スタッフが素直に自分たちの役割に取り組んでくれています。

◎ネーミングを工夫する

また、オタンティックでは、「ビジョン実現型経営計画」上での「評価制度」に“人事制度〟や〝評価〟という言葉を使わないという独自の工夫を行っています。 これもななえさんの女性ならではの視点です。このような言葉は固い印象を与えてしまい、女性中心のスタッフへ本来の目的や経営者の思いが伝わらないだろうと考えたからです。

人事評価制度のことを「人財育成支援制度」、評価基準のことを「キャリアアッププログラム」、評価者のことを「成長サポーター」として運用しています。こうすることで、評価は育成のために行われるものであり、継続的に会社が成長するための仕組みだということを早い段階で定着させることができま

した。
また、人事部長のななえさんは、採用にもこの取組みを活用して成果につなげました。
「【関東美容サロン初、人材育成支援制度を導入】各グレードに分かれたキャリアパスのもと、自身のテーマやペースに合わせ成長を支援してくれる育成サポーターが、個々の成長をしっかりサポートしていきます」
といった内容を採用サイトに掲載し、成長意欲を持った男性スタッフを採用することができました。

次の募集では、「人材育成支援制度」を「アシスタント二人三脚カリキュラム」とし、表現を柔らかい印象にしたことで若い女性スタッフを採用することができました。

実際、応募者からは「こんな取組みをしているサロンは初めてです。しっかりしていてよいですね」
専門学校の就職担当の先生からは
「すごいですね、安心して推薦できます」
という声が聞かれるそうです。

こうして、表現方法を工夫しながら採用でもアピールすることで、求める人材の獲得にもつなげることができました。

◎「経営計画」はどんな業界でも成果につながる仕組みだった

オタンティックは、本書でご紹介した三つのサイクルをきっちりまわしたことで導入直後から継続的に成果につながったといえます。ただし、これを実現するためには仕組みの考え方や手順は変えないものの、活用方法や形式などは自社流に工夫、改善が必要だったということです。 仕組みができたところから実行して、高速でPDCAをまわしていった結果生み出されたものといえるでしょう。

これは、すべてのクライアントでいえることですが、仕組みの完成度は5、6割でもまずやってみて、現場で実践しながら改善していくことでしか成果は生まれません。私の1年間の実体験からも断言できます。

不況といわれている美容業界であっても「経営計画」にそって正しい手順で経営を行っていけば、必ず成果に結びつくことをオタンティックの事例は教えてくれます。

オタンティックは、「経営計画」にも盛り込んだ恵比寿店のリニューアルを行ったばかりです。これをきっかけにさらに成長にはずみがつくことは間違いないでしょう。 オタンティックの「経営理念」は、「美を通してお客様の心を豊かにする」です。数年後にはお客様だけでなく、スタッフ全員の心もきっと豊かになっているはずです。私も楽しみにしています。

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